タイトル通り「人生を変えた出会いってありますか?」
自分には・・・この人と言える人が1人います。
何度かブログにも書いたことのある車椅子の女性。
取材で出会ったのは10年前。当時29歳だったAさんは「不治の病」とされていた進行性の病気で筋肉が衰え車椅子生活をしていました。
初めて打ち合わせに行った帰りに電話がかかってきて「私は泣きませんから。テレビでお涙頂戴のようなVTRにはしてほしくないんです」と。
「もちろんですよ。自分は今日、あなたに出会って病気に立ち向かう姿勢を聞いて、そして、その周りに旦那さんがいて息子さんがいて幸せにしか感じなかったから。自分が感じたままに描きますよ」
こんなやりとりが最初でした。
最初は1回で終わるはずだった取材でしたが、Aさんが積極的に動き続けると、色んな変化がおきて、その都度に取材させてもらい気づけば5年間密着してました。
「絶対にやり遂げる」と最初はきれいごとにしか聞こえなかったAさんの言葉。
薬を研究してくれる人がいれば会いに行き。
お金がなければ協力を仰ぐために色んな場所に出向く
患者会の代表として精力的に活動
そして、発言したことを全て実現していく。
車椅子だと言うことを、病気だと言うことを絶対に言い訳しない。
進行していく病気なんてもろともせず、その状態でのベストを尽くしていく。
そんな、この人のお願いは皆が聞いてしまう不思議な力。
会って2、3年経った頃、自然とカミングアウトしました。
「海外に行ってた時にもいたよ〜」と普通に話を進める。
気づけば息子くんが家に泊まりに来たり、プライベートでも会うぐらいに。。。
そして今から6年前の2013年。
一緒に焼肉を食べにいくのに店を探したのですが・・・車椅子の入れる店を見つけるのが難しい。食べログを見ればたくさん写真があるのに。入り口に段があるかな?とか。椅子は動かせるのかな?とか。トイレは広いのかな?とか。
なんだこれ??
「いつも、こんな大変なの?」
情報過多と言われる時代に、本当に情報が必要な人に届いてない。。。
そこから車椅子でより情報を必要としている人に情報が届いてないんじゃないかとYouTubeで「車椅子ウォーカー」という動画チャンネルを開設。
資金は0。もちろんギャラは0円で完全ボランティア。
あらゆる公共交通機関、飛行機、川下りに、みかん狩り・・・
車椅子でもどこへだって行ける。そんな事を知ってもらいたくて。。。
時には鹿児島、長崎、茨城、韓国、遠くまで。
最初は経産省の助成金などに頼りながらでしたが、すぐに底をつき。。。
それでも数々の動画を撮影に行ってました。
「子供を今度連れて行きます」とか、そんな言葉を聞けるのが嬉しくて。
でも、ずっとやっていくためには資金が必要で。
そんな時にあるコンサルの方に一緒に話を聞きにいく機会があったんです。
そこで忘れられない一言がありました。
コンサルの方が「Aさんはどうなりたいんですか?」と聞いたんです。そしたら。。。
「納税がしたいです」と。
は?納税??
「人に喜ばれるもので、お金になってちゃんと納税したいです」
そんな目標ある!?
今でも忘れられない一言なんですよね。
でも・・・肝心の資金ぶりは中々、難しく。Aさん家族も自分も、この活動は一切のお金になってないですが、ただただ続けてきました。
そして2013年に始めてから、かれこれ6年が経ってました。。。
それが、去年の暮れ突然、Aさんから電話。
「県の VTRを車椅子ウォーカーで作ってくれないかって依頼がきたよ。」
ちゃんとお仕事として!?
「そうだよ」
そんなのやるに決まってるでしょ。
そして今回、一緒に撮影へ
12月に倒れて入院してたのに、薬飲みながらやってきたAさん。
この時、やばかったなー。
ちゃんとお仕事として、Aさんと旦那さんと、自分と、そしていつも車椅子ウォーカーの取材は破格で受けてくれていたカメラマンと一緒。
いつもの、みんなでお仕事。
感慨深過ぎた。。。
ぶっちゃけ、ちょっとだけ・・・
こみ上げるものがあったのはここだけの話です(笑)
しかも、このお仕事で使うイラストはAさんと同じ病気の、もう指先しか動かない方がパソコンを使って書いてくださってるんです。もちろんお仕事として。こうして、お仕事を色んな方に振り分ける。これもAさんとの目標の1つだったのです。
この日は寒く、車椅子の上、筋肉があまりないため、人より寒さを感じるAさん。
でも撮影は外で日中びっしり。
明らかに寒そうなAさんに「もう1回」「あーちょっと違う、もう1回」という自分に。。。今回のお仕事をくださった方が終わった後に「いや〜山口さんに依頼してよかった。Aさんに他の人だったら言えないもん」と言われました。
いや〜。違うんですよね。
そこで自分が妥協するのを許さないのはAさんの方なんです。それを分かってるから、こっちも求めるものを妥協しないんです。妥協したとたん「今の本当はいいと思ってないでしょ」って言われるから(笑)
ほんと、6年後にこんな日がくるとは思わなかった。
それってお金じゃないんですよね。
人生の中でお金じゃない何かをどれだけしていけるか。
この人との出会いがあったから。
この人の後ろ姿を見て来たから。
AVANCEを始めたんです。
「動けば変わるよ」と見せつけられてきたから。
この人との出会いがなかったら今の考えは絶対になかった。
続けていく事・・・
進んでいく事・・・
諦めない事・・・
10年の時をへて、また改めて教えてもらった気がします。
本当に最高に幸せな1日でした。
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