AVANCE

〜ビアン人生も悪くないですよ〜

記憶に残りまくっている本

お天気下り坂の水曜日。低気圧のせいかちょっと頭が痛い気がしている まーさんです。でも今日も元気です。ポジティブでごめんね。

山口さんのブログ「記憶に残っている本ってありますか?」を読んで、「あるあるある!!」って思いました。 みなさんにも、きっとありますよね。人にオススメしたい本だったり、逆に、誰にも言えない秘密の(大切な)存在の本だったり。 記憶に残るっていうのはいろんな意味がありますので、私にも何冊か思い浮かぶ本がありますが、今日はその中から1冊、ご紹介させてもらいます。

私が一皮むけた本。

藤森直子『Fuckin’ Blue Film(ファッキンブルーフィルム)』

 

2001年に発売された本なので、ご存知の方は少ないでしょうね。

SMクラブで働くバイセクシャルの女性のただの日記です。だけど、この本、とんでもないの。

私が20代前半の頃、どういうルートでたどり着いたのかは記憶にありませんが、この本の著者「ナオちゃん」が書いている日記(今でいうブログ)サイトを知りました。そのサイトで綴られていた日記が、この本の原文です。

当時、書籍化することを考えてもいなかったでしょうから、それはそれはあけっぴろげな日記でした。SMクラブの変態すぎるお客さんたちのこと、ナオちゃん自身のぶっ壊れてる性の話、想い人も、同棲相手も、遊び相手も、セフレも、男も女も関係なしにわんさか出てきて、それはそれは濃ゆい時間を過ごしているナオちゃんの毎日。1年とちょっとの出来事です。心に痛いエピソードが溢れてる。

そう聞くと、ただの過激なサブカルエッセイのように思えるでしょ?

違うの。それが、違うの。

内容に反して、綴られる言葉は静かで、そして深くて、読後感はこの本の装丁のような海のイメージ。しっかりと語りかけてくるナオちゃんの文章には、惹きつけられて逃れられなくなるのです。

ナオちゃんの一人称は「ワシ」。そこがまたいいんですよ(笑)

あまりにもエロくて、衝撃的で、怖くて、切なくて・・・、それなのに、なぜか私には癒しの世界でした。ナオちゃんの住む世界は一見強くて派手なんだけど、その真ん中にあるとてつもない淋しさや不安感が、私を安心させてくれたのかもしれません。楽しそうに生きている人が、実は満たされてはいないということとか、求める愛と得られる愛の間で苦しむ人の多さとか。そういうリアルが、「自分の悩みだけが特別じゃない」ということを感じさせてくれました。

女性が好きなこと。ビアンであること。それを受け止めて生きていくことを、恐る恐る決めようとしていた頃でした。付き合っている彼女がいて、ビアンの知り合いも少しいて、毎日が楽しくなり始めていたのは事実だったけど、先のことは(将来のことは)見ないようしてました。「考えるのは、その時になってから。」 そうやって軽さを装って目をそらしていたつもりだったけど、でも本当は「考えないように、考えないように」って考えちゃってたんですよね。

女性が好き。私はやっぱりビアン。・・・だから、不幸? 悲劇? 運命を恨む?

ぶっ壊れてる登場人物たち(ナオちゃんだけじゃないのよ)のおかげで、自分の内に秘めた闇・暗・怒・哀・悪・壊などなどなどの負の存在たちが、なんの恥ずかしさもなく、なんの後ろめたさもなく、肯定された気がしました。

 

「私は強いんじゃない。私にとって決定的に重要でない人が私を傷つけることは絶対にできないって知ってるだけ。」

「誰かを傷つけ誰かに傷つけられる関係は、深海のような結びつきがあってはじめて成り立つ。それは特別な関係だけに許された、本当は恐ろしく贅沢な結びつきなんじゃないかと思う。」

 

あれから10年くらいたって、30代半ばで大航海時代(大後悔時代)を終えた頃、私はまた無性にこの本を読み返したくなって購入しました。読後感は、あの頃とは違うものでした。やっぱり私も年齢を経てきたんだなって思った。「私にもいろいろあったよ、ナオちゃん」て、今はもうどこで何をしているのかもわからない藤森直子さんを恋しく思いました。生きていて欲しいけど、それもわからない人です。

もし、あの頃の私のように「一見自信ありげで、実は迷いの森を迷走中」のビアンさんがいたら、どうか読んでみてほしいです。若い感性にどう刺さるか、知りたい。

今もかろうじて販売されているようですが、装丁は変わってしまいました

 

あ!!!

原文のブログが、まだ残っていましたー!(泣) 過去日記もすべてバックナンバーで読めます。相当ボリュームがありますが、ご興味のある方はぜひ。

●母乳プレイへの道
●女と女と風呂の中
●女心と水玉パンツ
●花火と陰毛
●M女来たりて犬になる
●濡れ場の馬鹿力
●ピンクローターは泣いている
●敗者髪切りマッチ
●糞を撒こう!
●一日百万円
●M男のナプキン物語
●サランラップの愛

毎日の日記のタイトルだけでも、すごいでしょ?

「NAO’s Blue Film 」http://fuckinbluefilm.my.coocan.jp/

 

あなたの1冊も、教えてほしい。

11月19日(日)【映画・読書・舞台】趣味でつながろ友達オフ会

 

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